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(無料記事)当手法のサブディビジョン・モデリングの概要

Blenderのマルチレゾリューション・モディファイアは残念ながら中間メッシュを編集モードで編集できない。ではBlenderではサブディビジョン・モデリングを用いたスカルプトやポリゴン編集はできないのだろうか?諦めるべきか?

色々試行錯誤して検討した結果、限られた条件の範囲内のモデリングにおいて、ほぼ実用的な使い勝手でスカルプトもポリゴンモデリングもできることが分かった。

1オブジェクトあたり上限約5万ポリ※でサブディビジョン・モデリングとスカルプト、シェイプキー変形と編集モードを全て使うことができる。(※お使いのPC能力に依存します。私の環境では1オブジェクトあたり3~4万ポリがほぼ実用限界)

1オブジェクトで最大5万ポリ

1オブジェクトあたり最大5万ポリね。1キャラあたりの総ポリゴン数ではない点に注意。オブジェクトが複数に分かれていれば1キャラあたりのポリゴン総数はPC能力の上限まで使えます😊

更新履歴
2024/01/08 公開。

(約 2,500文字の記事です。)

目次

前回の復習

前回の記事ではBlenderのマルチレゾリューション・モディファイアはスカルプトモードでしか使えず、編集モードでは最下位レベルのメッシュ要素しか操作できないことを解説した。なのでサブディビジョン・モデリングの中間レベルのメッシュはスカルプトモードでしか操作できない。

またモディファイアの確定と再構築の方法だと編集モードが使えるが、代償としてシェイプキーが全滅するのでその方法も採用できない。なのでZbrushの代替としてのスカルプトモードやサブディビジョン・モデリングは、普通のBlenderの使い方ではかなり厳しい。

そして色々試行錯誤して検討した結果、限られた条件の範囲内のモデリングにおいては、ほぼ実用的な使い勝手でスカルプトもポリゴンモデリングもできることが分かった。かなりトリッキーな使い方になるが、人物モデリングのうち女性モデル、特にサブディビジョン・モデリングによる滑らかな表現を主体とするならば、1オブジェクトあたり上限約5万ポリ※でサブディビジョン・モデリングとスカルプト、シェイプキー変形と編集モードを全て使うことができる。(※モディファイア無関係な純粋な静的メッシュの四角ポリ数

大和 司

私の環境では1オブジェクトあたり3~4万ポリがほぼ実用限界ですが、恐らくお使いのPC能力に依存します。Blenderの操作時の反応がモッサリと重くなったら限界です。)

1オブジェクトで最大5万ポリ

1オブジェクトあたり最大5万ポリね。1キャラあたりの総ポリゴン数ではない点に注意。オブジェクトが複数に分かれていれば1キャラあたりのポリゴン総数はPC能力の上限まで使えます😊

1オブジェクト最大5万ポリの理由

1オブジェクトあたりの実用上の最大ポリゴン上限の関係は以下の通り。

No.シェイプキー変形サブディブ
モデリング
スカルプトの
ポリゴン上限
1しないしない約800万ポリ
2利用しない約50万ポリ
3利用下1段のみ約12万ポリ
4利用下3段、
上1段まで
約4~5万ポリ

色々実験し、以下の条件でBlenderを扱う際にモッサリしながらも何とか現実的に作業ができるポリゴン数を探った結果。

  • シェイプキーにスカルプト変形を記録させ、いつでも可変できること
  • サブディビジョン・モデリングでロー側3段階、ハイ側1段階を自由に往復できること
  • スカルプトモードを普通に利用できること
  • 編集モードでスカルプトしたメッシュを編集できること

この条件を統べた満たした上で、さらにBlender特有のリグポージングやカーブメッシュなども使える。サブディビジョン・モデリングについてはZbrushのように何でも自由にとはいかないものの、1オブジェクト上限5万ポリサブディブ下3段上1段の自由な往復、この2つの制約だけならば十分にスカルプトでサブディビジョン・モデリングとして実用に耐えうると判断した。

当手法の強み

それ以外の特徴として、

  • ベースメッシュ(最下位メッシュ)のトポロジ構造をいつでも変更可能
  • その場合でもシェイプキーの変形情報(スカルプトによる変形情報)は維持される
  • その場合でもサブディブの各情報も維持される

トポロジ変更してもシェイプキー維持

一般的なサブディビジョン・モデリングではベースメッシュのトポロジ変更はNGだ。(Zbrushでは「サブディビジョンを再構築」の機能でトポロジ変更後のベースメッシュに対して自動的に形状転写とサブディブレベル上げを機械的に繰り返してトポロジ変更に対応しているようだ。だがときどき謎の転写失敗が発生する。ごく稀に。)

だが当手法では難しいことはしておらず、普通にベースメッシュのトポロジ構造の変更はいつでもOK。Zbrushのレイヤー機能に相当するシェイプキーの可逆な変形も、ベースメッシュのトポロジ構造の変更であっても問題なく維持されている。これはZbrushではできなかったと思う。

制約ありだが十分実用レベルな仕様

これができてさらにリグポージングやカーブメッシュなども使え、さらにサブディビジョン・モデリングでクリース値制御のエッジ制御ができるとなれば、

  • 表面滑らか手段のサブディビジョン・モデリング
  • エッジのとがり具合を制御するサブディビジョン・モデリング
  • スカルプトの面荒れ防止のサブディビジョンの上げ下げと形状変更
  • ハイポリ側のスカルプトをシェイプキーに記憶させてその強さをいつでも調整
  • しかもベースメッシュのトポロジ構造はいつでも変更可能
  • 編集モードでポリゴン編集可能

これらが実現可能だという結論に達した。スカルプトとサブディビジョン・モデリングと「編集の可逆性」の全てを持ち合わせた手法になった。代償が、

  • 1オブジェクトあたり最大約5万ポリ
  • サブディビジョン・モデリングの下3段、上1段まで

この2つだが、それでも余りある魅力だ。十分実用的だろう。

だいぶ長くなってしまったので今回はこれで終了。次回から当手法のコア技術の仕組みを解説していく。

今回の創作活動は約1時間15分(累積 約3,702時間)
(958回目のブログ更新)

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