MENU

(無料記事)実践リトポの前の練習方法

(約 2,900文字の記事です。)2023/01/15 更新。

RetopoFlowの便利機能が分かって、すぐにでも顔のリトポをやりたいと思ったことでしょう。

その気持ち、よく分かります。ですが!

更新履歴
2023/01/15 Blender 3.3.2とRetopoFlow 3.2.9対応。

目次

顔パーツは卒業検定並みの難易度

顔のリトポはすぐにやらない方がいいです。RetopoFlowの全機能を迷わず使えるようになった後で、卒業検定としてトライして下さい。

というのも、顔のリトポはRetopoFlowの全機能を適切に使わないとスムーズにリトポできません。必ず詰まります。

理由は簡単で、顔パーツにはメッシュのトポロジ作りが超絶高難易度なパーツだらけだからです。

・パーツごとにメッシュ密度の異なる部位がたくさんある(目の周り、鼻、耳、唇、頬、首、顎ライン、でメッシュ密度が極端に変わる)
メッシュ密度の違いを埋める作業に一番手間がかかる(それが多い顔パーツは地獄)
・エッジラインを引くべき場所がたくさんある(目の穴の周り、鼻筋、唇、顎ライン、耳の最外周、耳の付け根)

要するに1面張り単位での微調整が必要な場所がわんさかあるので、RetopoFlowの全機能を迷わず使えるようになってからじゃないと、「これはどうすればいいのだろう?」と悩んでいる時間が増えて、全然楽しくもないし辛いだけなのです!

シンプルな靴や衣類、小物からトライ

悪いことは言わない。まずは身に付けた知識を実践できるように、靴などの割とシンプルだけれどもまだトポロジ制御ができていない造形パーツから少しずつ試した方がいいと思います。

あるいはブーリアン結合後の超絶三角ポリまみれのハードエッジメッシュのリトポ練習もオススメです。これは即戦力になります。

思い立ったらブーリアン結合ができるわけですから。自由度がワンランクアップします。

事前のデシメート処理を忘れずに

デシメートとは、形を大きく変えることなく頂点数(ポリゴン数)を大幅に削減できる処理のことです。Zbrushならばデシメーションマスター、Blenderならばデシメート・モディファイアがあります。

そもそもデシメートって何ですか?

デシメートとは、現在のトポロジを三角ポリまみれになるようにトポロジを全部破壊して、その代わりに「今の形状に最も適したトポロジになるように三角ポリのみでトポロジを再構成する」機能を指します。たいていの場合は頂点数をかなり減らすことができます。形状を保ったままデータ量を減らすときによく用いられます。

現在完成しているメッシュのエッジ形状をできるだけ残しつつ、頂点数をごりごり削るための処理とも言えます。

たとえば200万ポリを、ほぼ同じ形状で2万ポリに落とすためにPCが形状からトポロジを逆算をして「多分この頂点を消し去っても平面っぽい部位なので問題なさそうだから頂点を削りました」というような処理を何万頂点にも対してPCが吟味しながら自動で頂点削除する処理です。もちろん圧縮しすぎると元の形状が崩れるので、造形にもよりますが20~16%までしか圧縮できないこともあります。プレビューを見ながら圧縮割合を見極めます。

要するにデシメートとはなるべく元の形を維持しつつポリゴン数を削減する処理です。そうする事でトポロジは三角まみれのCADメッシュみたいになりますが、形は割と元のままです。ですからリトポ用のベースメッシュに最適なのです。

なお、デシメートの出番は基本、1回しかありません。Zbrushで完成した超絶ハイポリを、形を維持したままで3Dプリンタや外部アプリが受取可能な「ぎりぎりの最大ポリゴン数」まで頂点数を削減するためだけです。なので、作品の場合には仕上げの最終ステップです。

あるいは今回のようにリトポするための「形状情報を取得するためのメッシュ作り」です。デシメートして軽くなったメッシュであっても「形状が大体元の形と一緒」ならば、リトポに何の支障もありません。

あとはGoogleでデシメートについて調べてみれば分かると思います。

どうしても人体でリトポ練習するならば

人体で練習するならば、部位毎にオブジェクトを小分けにして練習するのがいいでしょうね。例えば肘から下の指先まで、とか。二の腕から胸部までとか。

ちなみに円筒形状ならば、まずは8の倍数の角数でリトポすればいいかも。16角形とか32角形とか。この辺はお好みでどうぞ。

なるべくローポリでのリトポとポリゴン密度の緩急の制御の練習を

あと、リトポ段階でミドルポリになるとリトポの価値が半減するから、限界ぎりぎりまでローポリでリトポし、ポリゴン数が少なすぎてきつい部分についてはリトポ作業でメッシュ密度を上げる方向で「メッシュ密度の緩急」を思い通りに制御できるかどうか試した方がいいです。

というのも、全体的なポリゴン密度ならばサブディビジョンレベルUPでいつでも誰でもできる。そうじゃなくて、手動リトポのメリットは、全体のポリゴン密度を上げずに、ポリゴン密度そのものの緩急で形状を表現できることこそが手動リトポの最大のメリットだからです。

(参考)

リトポ練習はBlendファイルでこまめに保存

またリトポ作業で詰まったら、まずは作業途中のBlendファイルを保存しておいて、知識や手段が増え次第、それらを生かして「残しておいた未着手の高難易度の部分のリトポを進める」というスタイルをオススメします。

少なくともこのマガジンの記事の一通りの執筆が終わり、それを読了した後でないと顔のリトポはオススメしません。簡単な物からコツコツとリトポし、ご自身にとっての最適なローポリ具合のメッシュのイメージを持てるようになってからでも遅くはありません。

リトポは「トポロジを作る創作活動」なので

そもそも、理想のローポリメッシュをイメージできていなければ、理想的なリトポはできるはずもなく。トポロジを作り出す創作活動なので、完成型のイメージがなければ、手順も完成型もイメージできないのは当たり前です。

ですから、簡単な物のリトポを繰り返して手順を身に付けつつ、ご自身にとって必要なローポリメッシュとは何なのか?をきちんと決めて下さい。それがなければ、どちらかというとZRemesherで全自動リトポに全振りしていいと思います。手動リトポでなければ駄目な理由がないならば、それは多分、手動リトポが不要な立体造形のワークフローで十分だと思うので、リトポの意味がないでしょう。

意味のないことはやる必要はないので、むしろ省略する価値があります(笑)

というわけで、そもそも、なぜ手動リトポする必要があるのか?どういうトポロジが欲しいのか?という根本的なところが固まるまでは、今使えるリトポ技術でシンプルなメッシュをリトポしつつ、ローポリとポリゴン密度と形状表現とのバランス感覚を養って下さい。

今回の創作活動は約30分(累積 約3,122時間)
(836回目のnote更新)

今回の創作活動は約2時間30分(累積 約2,185時間)
(558回目のnote更新)

目次