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(無料記事)Zbrushのフィギュアをボーンでポーズ変更する(第1回)はじめに

(約 2,500文字の記事です。)

Zbrushで最初にフィギュア用の原型をAポーズやTポーズで作ることがあるだろう。シンメトリ(左右対称)造型なら手間が半分で済む。だが完成型がA, Tポーズのままということはフィギュアではまずないだろう。

(リグ入れ用のゲーム用キャラでもない限り。)

目次

Zbrushのみでのフィギュアのポージングは大変

A, TポーズからのポージングをZbrushのみでやろうとすると、ひたすらにマスク+ギズモ操作を関節の数だけ行うことになる。マスクブラーなどの調整も1つずつだ。アナログ作業であり、関節の数に応じて工数と時間と手間が増える。

特にメッシュの自己交差を後から直すときには大変だろう。

3DCGでのポージングはリグ(ボーン)ポージングが普通

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そこでBlenderというDCCツールを使う。BlenderやMayaなどといったDCCツールには大昔からボーンまたはリグによるポージングやアニメーション変形機能がある。3DCG業界では一般的にはメッシュの変形にはリグ変形、あるいはモーフ変形を使う。Zbrushのようなマスク+ギズモ編集は基本的にはしない。まるで編集モードでメッシュの形状を破壊編集するわけだから、3DCG業界ではかなり特殊な操作方法になる。

Zbrushにはそういったガラパゴスな常識が多い。だからZbrushオンリーはオススメしない。BlenderなどのDCCツールも使うべきだと思っている。

Zbrushオンリーのマスク+ギズモ変形のデメリットはズバリ「ポーズの再調整・やり直し時の可逆性」がない点だ。マスクブラーのかかった状態1つを復元するだけでも大変なことだ。

ところがBlenderでボーンを入れてウェイト値を設定するとウェイト値がすなわちマスク+マスクブラーの情報なので、いつでも可逆だ。何度でもやり直せる。

Blenderオンリーの場合にはいつでもA, Tポーズに戻せるが、今回のテーマのようにZbrush+Blenderでの作業の場合には残念ながら初回以外でA, Tポーズには戻せない。これは技術上の仕様。

とはいえ、Zbrush+Blenderでも再ポージング時のポージングの微調整はマウスでボーンやリグをドラッグ一発で調整完了だ。Blenderから再びZbrushに戻すまでは何度でも可逆で「ポーズの再調整&全体像の俯瞰チェック」を繰り返せる。BlenderからZbrushに戻して「いったんポーズの確定」となるが、再びBlenderに戻せばそこからの再調整は何度でもできる。

ZbrushとBlenderとを連携させる

以上のように、Zbrushでメッシュ操作をしつつ、A, Tポーズが完成したボディにボーンやリグを入れてスキニング(ウェイト値の設定)をしてからポージングさせ、ポージング後であっても自由にZbrushとBlenderとを往復させて「スカルプト」と「ポーズの微調整」を両者で行っていくワークフローは完成している。このマガジンではその具体的な手法・手順、ツールなどを紹介していく。

従来不可能と思われた手法のブレークスルー

ZbrushとBlenderという2つの異なるソフトウェアで1つのメッシュを編集していくという手法は、3DCGではかなり特殊だ。通常は作業内容ごとにソフトを選ぶことが多いが、今回はモデリングという1つの工程を2つのソフトで相互に往復させつつ仕上げていくという、かなり特殊な使い方になる。だから、実は何でもパーフェクトという訳にはいかない。いくつか技術上の制約もある。

従来の手法ではその制約があまりにも多く、ハッキリ言って役に立たないレベルだった。このマガジンで紹介する手法では、それらの制約を克服し、かなり実践レベルでのZbrush+Blenderのワークフローを構築できた。

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例えばこの画像は、Zbrushのサブディビジョンレベル5程度のハイポリメッシュを、Blenderではカクカクの最低サブディビジョンレベルでポーズ変形させているが、変形後の結果はきちんとハイポリ状態で変形できている。

これによってZbrushではサブディビジョン・モデリングでディティールを確保しつつ、ポーズ変形は最低レベルのローポリモデルでポーズ調整できることを意味する。これが1つのブレークスルー。

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一般的にリグポージングではメッシュのトポロジが変わると変更部分のウェイト値がいくらか不明のため、ポーズ変更の継続が難しい。例外としてはBlender内でトポロジ変更した場合にはBlenderが自動で新規頂点にウェイト値をいい具合にセットしてくれるくらいだ。そうなるとZbrush側の最低レベルを適用するとウェイト値が消える。ではZbrush上では永遠に下位レベルを適用できないことになる。それが不便だった。だが今回、自作のBlenderアドオンを使って少ない手間でトポロジ変更に対応させることに成功した。上の図のようにトポロジが密になってもきちんとウェイト値が維持されつつ、ポーズも維持されている。

イメージで言うとZbrushの下位レベル2つくらいを適用し、最下位ポリゴンをミドルポリにしたという具合。

これによって、

・Zbrushではサブディビジョン・モデリングができる
・Blenderではそれを維持したまま最下位レベルでリグポージングができる
・Zbrushのサブディビジョンレベルの適用タイミングとポージングとは無関係にできた(いつでもポーズ中のメッシュのトポロジを変更可能)

これらを両立できた。特にいつでもポーズ中のメッシュのトポロジを変更可能にできたことが1つの大きなターニングポイントであった。

くどいが、メッシュの取り扱いに制約はある

だが何でもかんでも自由に両者にメッシュを受け渡せるわけではない。制約はやはり存在する。その制約は技術上の制約なので、工夫などで回避はできない。色々と可能性を探ったが、結果としては不可能だった。

だが実践的なフィギュア造型ワークフローにおいてさほど致命的になる部分ではない。少々厄介ではあるが、工夫して回避してフィギュア原型を仕上げることは可能だ。

次回からその制約や、その他の実践的なワークフローの話に入っていく。

今回の創作活動は約1時間15分(累積 約2,567時間)
(682回目のnote更新)

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